魔法少女リリカルなのは
ちぇんじ×チェンジ
 
第1章 偶然とは必然なの? 1







 それは突然の出来事だった・・・
 異変に気付いたのは、世界が概ね平和な朝だった
 そう・・・わたし達以外は・・・・・・。
 魔法少女リリカルなのは ちぇんじ×チェンジ始まります。





「・・・んん――ふぇいと・・・ちゃん・・・・・・」



 軽く寝言を漏らしながら、寝返りをうつ。 すると身体に温かく柔らかな何かがあたるフェイトだと思いぎゅっと
抱き締める、なのは。 すると・・・・・・



「・・・・・・アリサちゃん・・・」



 と言う呟きとともに抱き返される。 その固定名称を聞いた瞬間、なのはの心臓が大きく跳ね上がる

 ――っ!!・・・な、んでアリサちゃん?
 いくら朝が弱いフェイトちゃんでも、寝惚けてても、言って良い事と悪い事があるんだよ?
 でも・・・今フェイトちゃん、アリサちゃんの事ちゃん付けしてたような気がするんだけど気のせいかなぁ?

僅かな疑問は、なのはの心にひとつの結論を導き出す。 今抱き締めているのは、本当にフェイトなのかと・・・。



 一方その頃。 レイジングハ―トは朝4時30分には起きる、なのはを見つめていた。 声を掛けるか否か時刻は午前4時50分起きる気配は全く無い、意を決して声を掛ける事にした



「・・・・・・マスター起床時刻を過ぎていますが、今日のトレーニングはどうしますか?」

 レイジングハ―トの呼び掛けで目覚めたアリサは隣で寝ている筈のすずかに話し掛ける

「・・・・・・ねぇすずか、あたしの聞き違いじゃなければ、今レイジングハ―トの声が聞こえたんだけど、
なのはって昨日泊まってたっけ?」



 暫しの沈黙が流れる
 何の返答も無い事を不信に思い、まだ重い瞼を擦りながら半身を起こして隣で寝ている少女を見据える



「――っ!! フェ、フェイト!? なっ何で?・・・・・って、ここはなのはの部屋じゃないの!!
これはいったいどうなっているのよ!?」



 素っ頓狂な声に驚いて飛び起きるフェイト



「!!―――ど、どうしたのなのは? 何か、あった?」



 フェイトの発言に怪訝な表情で言葉を紡ぎ出すアリサ



「・・・・・・寝惚けてるんでしょうけど、笑えない冗談はいいから。フェイト! よーく見なさい。
あたしはアリサよ!!」



 胸を張り、返答を待つアリサに対して、目を丸くしながらフェイトは正確に自分の感想を述べる



「・・・・・・え、と。 私には、なのはにしか見えないんだけど・・・・・・ア、アリサの物真似か、な?
とても良く似てたよ、なのは」



 寝惚けてる感じも無く、遠慮がちに答えるフェイトに対して戸惑うアリサ



 寝惚けてる風でもないし、フェイトはこんな嘘をつくような子じゃない・・・・・・。
 って事は本当に!? なのはって事!?



「はぃ?―――――じゃ、じゃあ・・・あたしは、なのはになってるって事!?」



 どうしたの? なのは? 何をそんなに焦っているのかな?



「ん〜〜〜、と言うか・・・・・。 元から、なのはだと思うんだけど?」



 そんな事さらりと言わないでよ! あたしは生まれた時からアリサ・バニングスなんですけど!?



「いやいやいや、ちょっと待って!! 元からアリサ・バニングスなんですけど?
でも、あたし・・・・。何で、なのはの部屋に居るんだろう??
それに―――今あたしが着てるの、ど〜みても・・・なのはのパジャマよね?」



 う〜ん、う〜んと唸りながら考え込むアリサを見て、訝るフェイト



 今日のなのは様子がいつもと違う・・・それに、雰囲気とか表情とかも・・・。
 まるで・・・・・・・・・そう、まるで・・・アリサみたいだ!! でも、姿形はなのはだけど?

 その時! クロノから通信が入る



「朝早くにすまないフェイト、なのは、昨夜古代遺物がひとつ紛失にあったんだが。
ちょっと厄介でな、次元震とか危険性は無いんだが・・・・・・。
まぁ、なんだ・・・そっちの方は大丈夫か? 何か変わった事は無いか??」



 クロノ・・・朝からそんな疲れた顔してるけど、大丈夫なのかな? あんまり無理しちゃ駄目だよ?
 母さんとエイミィが心配するよ、私もだけど。



「おはようクロノ、変わった事と言うか、その・・・・・・なのはの様子がおかしいんだ!
姿形は、なのはなんだけど本人は自分はアリサだって言ってるんだ。
昨夜、紛失した古代遺物と何か関係があったりするのかな??」



 溜め息をつき、項垂れるクロノ



「はぁ・・・遅かったか、昨夜紛失にあった古代遺物『器の刻印』この古代遺物は、
精神と肉体を入れ替える事が出来るんだが・・・・・・すまないがフェイト、なのはの身体を調べてくれないか?
もし『器の刻印』によって、なのはとアリサが入れ替わっているんだったら身体の何処かに、刻印が在るはずだ! 一度通信を切るから、何か判ったら折り返し通信してほしい、頼めるか?」



 頷き、二つ返事で応えるフェイトを見てクロノは通信を切った。
 二人のやり取りを眺めていたアリサは、ただ呆然としている



「アリサ・・・クロノの話聞いてたよね? その・・・・・・身体を調べたいから、服・・・脱いでもらって良いかな?」



 フェイトのひと言でアリサの顔が少し赤く染まる



「ぬ、脱ぐっていったって・・・・・・・・・なのはの身体なんですけど!?」

「―――へ!?」



予想外の言葉に思わず間の抜けた声を出すフェイト

 確かに、なのはの身体なんだけど・・・・・・。
 そうなんだけど・・・調べないと判らないし。 こ、これは事件かもしれないし・・・そうなると私達の仕事だし!
 服を脱ぐって言っても・・・・・・それを調べる為なんだし・・・。なのはだって、きっと分かってくれる・・・筈だよね??



「えと、これは事件かも知れないんだ! だ、だから緊急自体だし・・・なのはに断りも無しにだけど・・・。
たぶん、大丈夫! なのはも分かってくれるよ? アリサ?」



 そりゃあ、そうでしょうけど・・・やっぱり、なのはに聞いた方が良いわよね? お互いの状況も確認したいしね。



「フェイト、『器の刻印』だっけ? それが原因だったとしたら、なのははあたしの身体になってるって事でしょ?
なのはの携帯であたしの携帯に電話してみるからちょっと待ってて!」

 なのは携帯を開き自分のアドレスクリックするアリサ。 一方その頃なのはは困っていた



 ど、どうしよう・・・フェイトちゃんか、どうか確認したいんだけど・・・・・・・・。
 抱き合っちゃってるから確認出来ないよ〜

 なのはが考え悩んでいると、枕元にある携帯が着信し、リズミカルなメロディが流れる
 “びくっ!”と身体を震わせ、条件反射的に携帯を掴む
 開けると、液晶画面には、なのはの名前が表示されている

 な、なんで、なんで?? わたしの名前!?
 っ!・・・わたしの携帯じゃない!? けど・・・・・・誰がわたしの携帯でかけてるのかな??
 と、とりあえず出てみようかな?



「も、もしもし?・・・・・・。」

「なのは? あたしアリサだけど、状況を確認したいから! ひとつひとつ質問するわね?
まず、最初に隣にすずか居るわよね?」

「ア、アリサちゃん!? ふぇ? すずかちゃん!? なんで??」



 というかなんで、わたしの携帯でアリサちゃんが電話かけてるの? あ・・・これ、アリサちゃんの携帯だ!



「いいから・・・・・・隣で寝てるでしょ?」



 抱き合ってる身体をそ〜っと離し、相手を見据える、なのはの瞳に映ったのは見慣れた親友の姿だった。



「・・・・・・ほ、本当だ! すずかちゃんだ!! でも、なんで? ねぇ、アリサちゃん! どうし――」



 なのはの言葉を遮り確認を続けるアリサ



「はい、はい、ちゃ〜んと分かるから! 質問は、後でね? 次、今なのはが、居るのは、あたしの部屋よね?」

「うん、そうみたい・・・・・・。 でも・・・アリサちゃんってすずかちゃんと一緒に寝てるんだね?
わたしもフェイトちゃんと一緒に寝てるけど、にゃはは♪」



 なのはの一言で頭から湯気が出るほど、顔を真っ赤にするアリサ

 電話越しでも・・・・・・コレはマズイわ、独りっきりの時ならまだ良いけど・・・。 いや、良くないんだけど!
 今は近くにフェイトがいるのよ!? 落ち着きなさい!! あたし!!!



「っ!!―――な、なのは・・・い、今は、そんな事いいから・・・・・・」

「あぁ〜そんな事言って、アリサちゃん♪ 照れてるんでしょ??」



 図星をつかれ反論の言葉が出ない・・・



「―――――っ、うるさい、うるさい、うるさ〜い!!!
今はそれどころじゃないんだから、関係無い事は言わない!!」



 そんなに照れる事無いのにぃ〜〜
 アリサちゃん、素直じゃないんだから、なんて言ったっけ、こういうの??
 はやてちゃんが言ってたよね? えと、確か・・・ツンデレだっけ? かわいいなぁ、アリサちゃんは♪

 無言のなのはに痺れを切らして声を荒げるアリサ



「・・・・・ちょっと! 聞いてる、なのは??」

「にゃはは、ごめんアリサちゃん! ちゃんと聞いてるよ」

「・・・本当でしょうね?? まぁ、良いわ。 次、なのはが今着てるのは、あたしのパジャマよね??」

「ふぇ?? アリサちゃんのパジャマ!?
なっ! なんで、なんで、なんでぇ?? アリサちゃんが着せ替えたの!?」

「・・・・・・・・・。 なんで、あたしがそんな悪戯みたいな事するのよ! そんな事する訳無いじゃない!!
はやてじゃないんだから」

「にゃはは、ごめんごめん。 じゃあ、わたしなんでアリサちゃんのパジャマ着てるの??
はやてちゃんがとか?」

「いや今回は違うから。 その答えは、自分で確認しなさい。 あたしの部屋に大きな姿見の鏡あるでしょ?
それで自分の姿見てみなさい、びっくりなんてもんじゃないんだから!」



 ベットから降りて、姿見の鏡の前に立ち、まじまじと、自分の姿を見る。
 ソコには、見慣れたはずの自分の姿は無く。
 親友の・・・アリサの姿がソコにはあった。 驚きの余り、思考が停止し、言葉がでない。



「・・・・・・・・・なのは??、大丈夫!?」

「・・・・・・・・・・・・あ、あああああ!? ――アリ、アリ、アリ!?」

「いや、いや、あたし、蟻じゃないから! ソコで切るのは、やめて。 お願いだから!」

「ふぇぇ〜〜 そんな事言ったって・・・わたし、アリサちゃんになってるよ!!? なんで、なんで??」

「・・・・・・なんでって言われても、あたしも朝起きたら、なのはになってたわけだし。
さっきクロノさんからフェイトに通信があったんだけど、クロノさんによれば、古代遺物『器の刻印』に
よるものじゃないか? だって。 見分ける方法は、身体のどこかに印があるんだけど・・・・・・
フェイトに、なのはの身体調べる為に服脱いでほしいって言われたんだけど・・・・・・。 脱いじゃって良いの??」



 服を脱ぐ!? フェイトちゃんが調べるって・・・・・・いくら仕事でもひと言聞いてからにしてほしいんだけどな〜。
 わたしの身体なんだし・・・・・・。 クロノ君に言われたからって駄目だよ?



「ちょっとフェイトちゃんに、替わってもらって良いかな? アリサちゃん」



 無言でアリサに携帯を差し出されたフェイトは、戸惑いながら、受け取る

 アリサ・・・笑顔がなんだか、怖いよ・・・・・・?



「も、もしもし・・・なのは、おはよう」

「おはようフェイトちゃん♪ 仕事の為なんだけど、一言聞いてほしかったよ。 一様わたしの身体なんだしね?」

「ご、ごめんなのは! そうだよね、なのはの身体なんだから一言聞くべきだったね。 ごめんなのは・・・・・・・・。」



 沈んだ声で謝るフェイトの言葉が途切れて、沈黙する。



「フェイトちゃん? そこまで怒って無いから、今度からは気を付けてくれれば良いよ!」

「い、良いの!? 本当に?」



 なのはの言葉に声のトーンが上がるフェイト



「うん、良いよ。 なのはは分かってるから、フェイトちゃんは仕事熱心でうっかり屋さんなんだって事♪」

「ひどいや、なのは。 私そんなにうっかりしてないよ?」

「え〜〜、してるよ?」

「うぅ〜〜。 してないよ・・・・・・」



 フェイトとなのはのやり取りを見ていた、アリサは軽く溜め息をつきながら、ツッコミを入れずにはいられなかった。



「フェイトもなのはも、イチャイチャしないの!! 本当にあんた達はちょっと目を離すとすぐこれなんだから!
今はそれどころじゃないでしょ!? 横道逸れない!!」



 アリサの怒りの勢いにのまれたなのはとフェイトは同時に謝る



「「ご、ごめんなさい」」

「やれやれ、これじゃあ、全然進まないじゃない! 仕方ない、一旦電話切ってフェイトとそっちへ行くわ!
良いわね?」

「うん、わかった」



 なのはの同意を得て電話を切りフェイトと向かい合う



「さてと、フェイト! 魔法でぱぱっと翔んで行けるんでしょ? まずどうすればいいの??」

「えと―――まず・・・レイジングハ―トを起動させて、バリアジャケットに着替えるんだけど・・・・・・。
なのはの身体だけど、アリサが出来るか分からないから私の強制転移魔法でなのはの所へ行こう!!
それと、レイジングハ―ト身に付けてね、アリサ」

「はいは〜い、りょうか〜い」

「アリサ、私から離れないでね!」



 アリサを自分の身体に引き寄せてバルディッシュを起動させる、バリアジャケットに身を包み、魔法陣を展開させる



「・・・バルディッシュいくよ、アリサの部屋に転送!!」

「イェッサ―!」



 フェイトの言葉と同時に二人の身体が光に包まれ消えていく


 同時刻、アリサの部屋に光に包まれ現れる、フェイトとアリサ。 一瞬の出来事に驚嘆を隠せないアリサ



「はぁ・・・・・・凄いのね、アンタ達って。 魔法なんて、幻想だと思ってたんだけど、昔は・・・」

「にゃはは。 それは、わたしもだけど?」

「私は・・・ミッドチルダ出身だから、魔法が在るのが当たり前だったけど」

「じゃあ、身体に刻印が有るか調べるわよ!! なのは」

「うん! アリサちゃん。 とりあえず、上から脱ぐね」



 服を脱ぎ始める、なのはとアリサ
 フェイトは自分の頬が紅く染まるのを感じて“ドキリ”とした

 え!? な、何でこんなにドキドキするんだろう・・・・・・。 何か直視出来ないよ、なんだか凄く恥ずかしいんだけど

 二人に背を向けて、言葉をかけるフェイト



「えと・・・・・・私、外に出といた方がいいかな??」

「「何で??」」



 なのはとアリサに同時に聞き返され、苦笑いになるフェイト

 何でって・・・二人はどう思ってるのか分からないけど、私は今ここに居るだけで恥ずかしいんだけどな・・・。



「フェイトちゃん、もしかして照れてる??」



 なのはのひと言に“ドキっ”としてしまう

 ・・・・・・危ない、思わず反応してしまいそうだった。



「そんな訳ないでしょ? ねぇフェイト!!」



 アリサのひと言に身体が“ギクリ”と揺れる

 ここから・・・逃げ出したい。 そんな衝動に駈られてしまうフェイト
 アリサの溜め息が部屋中に響き渡る



「はぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・。
フェイトもこれぐらいでイチイチ照れない!! 恥ずかしいなら終わるまでそうしてなさい!」



 図星を指され、唸る事しか出来ないフェイト



「〜〜〜〜〜っ、あぅあぅあぅ・・・・・・・・・」

「にゃはは、でも・・・そう言う、アリサちゃんも結構照れ屋さんだよね?」

「!!!な、何でそこであたしに返ってくるわけ!?」

「え? 何でって言われても・・・思った事、口にしただけなんだけど?
アリサちゃんもすずかちゃんに対しては、こんな感じでしょ?? 違うの?」



 ・・・・・・な、なのはも言う様になったじゃない! だけど・・・ここで認めたら、負けたみたいじゃない!!
ていうか、恥ずかしい事を平然と聞かないでよ!!





 続く

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