部隊長とレアスキル







 珍しく放送で呼び出されて部隊長室に来てみたら、通信中の部隊長。
 えっと、間が悪いわねぇ。これは出直すべきかしら?
 後退りしようと思っていたら、私に気付いた部隊長に手招きされ中に入る様に促される。



「あー、うん。ほんならお願いなぁ〜じゃあ、また後で! さてと、堪忍なぁ〜ティアナ。呼び出したのに通信中で」

「いえ、大丈夫です!」



 通信を切り、すまなさそうに苦笑いで謝る部隊長。
 JS事件が終わっても部隊長ともなると忙しそうで、こういう真面目な所を見ると噂で耳にするちび狸の異名は本当かどうか疑いたくなる。
 あー、そういえば他にもオッパイ好きとしても有名なのよね〜 えっと、乳揉み魔だとか、セクハラ狸だとか?


 ただ、苦情が一切無く、逆に揉んで欲しいって人が後を絶たないとか。なんでも部隊長に揉まれた人はバストサイズが上がったりとか胸が大きくなるらしい。
 で、その部隊長が一体私に何の用なんだろう?



「それでなぁ〜ティアナを呼んだんは、これからちょぉわたしに同行して欲しいと思たからなんよ〜」

「えっと、部隊長に同行ですか?」

「うん。これから聖王教会に行くんやけど一緒に来てくれるやろか?」

「はい、わたしで良ければ同行させて頂きます。でも……私なんかで良いんですか?」

「んー、いや〜寧ろティアナやないと同行してもらう意味無いんよ〜」

「え? それってどういう……」

「詳しい事は向こうで話すけど、ティアナとは六課が解散しても仲良うしたいなぁ〜と思ってな〜? もし今回の様な事件がまた起こったらわたしがまた部隊を立ち上げるし、その時はまた力を貸して貰えたら嬉しいんよ〜」

「あ、はい! 勿論です! 私でよろしければまた部隊長の元に呼んで下さい」

「ありがとう。んでなぁ〜? なのはちゃんの過去も知ってる事やし、フェイトちゃんはちょぉ深刻やから落ち着いてから話してくれると思うんやけど」

「あの、部隊長? 一体なんの話なんですか?」

「あぁ、つまりはな? ティアナを信頼してわたしの過去を話とこうかなぁ〜と思って」

「なぁ!? そ、そんな重大な事をさらっと言わないで下さい!!」

「ん〜でもなぁ〜、ティアナの過去も知っとるし、わたしの事も知っといてもらった方がええと思うんよ?」

「いや、でもですね私の事は調べれば分かる様な過去ですけど。部隊長のは特秘事項じゃないですか! 一部下の私なんかが知って良いような事とは思えませんよ!」

「ティアナ、真面目な話ええかなぁ?」

「は、はぃ」



 普段のおちゃらけた親しみやすい雰囲気の部隊長に真面目な表情で問いかけられ、返事をする声が思わず裏返ってしまった。
もしかして、怒らせてしまったかと内心ヒヤヒヤしていたら「あぁ、怒った訳やないから安心してな?」って笑顔で言われ安心したのと同時に人の心が読めるんだろうかと思考があさっての方向に向かいそうになる。



「ティアナはな、自分を卑下する様な事よく言うけど、わたしはそうは思てない! なのはちゃんに教導されたかて皆が皆強くなれる訳やない、ティアナやからここまで強ぅなれたんよ?」

「いや、でも……なのはさんに鍛えてもらったからこそ今の私がある訳ですし――」

「まぁ、そこは否定せんよ? なのはちゃんの教導があったからこそ、強さだけに固持した危なっかしいティアナやのうて。仲間を守り抜いて窮地を打破出来るストライカーになったんやしなぁ〜♪」



 私の言葉を遮り先回りして答える部隊長。 ニヤニヤと含みある笑みに思わず視線を逸らしてしまう。
 いや、だって、ある種トラウマと言ってもいいような失態を遠回しに言われたら目を逸らしたくなるじゃない。



「……部隊長。褒められてる様に聞こえないんですけど」

「いや〜、失敗は人を成長させるんやで? まぁ、成長するかせんかはその人の頑張り次第やけどなぁ〜」

「拒否権は無いんですね?」

「ん? いや、そんなに身構えんでも特秘事項や言うたかて、大層な事やないんよ?
 レアスキル持ちや言うたかて、護りたかった家族も護れんかった。そんな失敗談なだけや〜
 せやけど、ティアナが聞きたないんやったら無理に話すつもりはないんよ? ただ知っといて欲しいだけや〜」



 ポーカーフェイスの上手い部隊長が少し寂しそうな表情で「友人としてな?」と付け足す。
 いつだったかアコース査察官が言っていた言葉が頭に思い浮かぶ、“上司と部下ってだけじゃなくて人間として、女の子同士として接してあげてくれないかな”
 友達なら友人なら、自分を知って欲しいって思うのは当然だ。知らないうちに上司と部下って接し方に固持し過ぎて、壁を破れないでいた自分に気付かされる。



「部隊長……ありがとうございます。嬉しいです」

「いや、そない改まって言われるとなんや恥ずかしいやん。ほな、行こか?」



 恥ずかしそうにハニカム部隊長は年上の筈なのに実年齢よりも格段に幼く見えてなんだか可愛かった。





 終わり

 
無理矢理終わらせた(ぇ
というか、この後何を書くつもりだったのか忘れたwww
なんかこう、最後が……はやて←ティアナに見えるのは気のせいだろうか?
ティアナさん浮気はダメダヨw 貴女にはスバルがーー(SLB
げほげほっ。


【2011年12月12日 2012年8月8日】著

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