どっちが年上か分からないよ…。
飲み過ぎは、程ほどに……じゃないと後悔しても知らないよ? の続編にあたる話







 飲み過ぎたわたしが全面的に悪いって分かってるし、今度からは気ぃ付ける。
 せやから機嫌直してほしい。ヴィヴィオ。





 大人モードを解除して、不機嫌そうに眉ねを寄せるヴィヴィオに恐る恐る機嫌を窺うはやて。





「……ヴィヴィオ。まだ、怒っとる?」


「怒られる様な事をした自覚はあるんですね」


「うぅ……」


「はやてさん、なんで私が怒ってるか分かりますか?」


「え? 昨日の事覚えてないからやんなぁ?」


「まぁ……無いって言ったら嘘になりますけど。
 私が怒ってるのは、そんなになるまでお酒を呑むなんて、身体にも悪いし。
 もしかしたら、ちゃんと帰って来れなかったかも知れないし。
 心配だから怒ってるんですよ?」


「……ヴィヴィオ。
 ごめん。気ぃ付ける様にするから、そんな悲しそうな顔せんで?」


「だって、心配だもん。はやてさんのバカ……」


「うぅ。堪忍やヴィヴィオ」





 涙目のヴィヴィオを抱き締めるはやては誰にも聞こえない様に溜め息をつく。



 はぁ。何で、いっつも心配かけてしまうんやろか。
 ヴィヴィオの性格考えたら、こうなる事分かってた筈やのに。後悔先に立たず、か。





「はやてさん、昨日の映像記録があるの。見ますよね?」





 優しい声色とは裏腹に纏う空気は限り無く冷たく。 重く、のし掛かる。
 額から汗が一滴たらりと走り、恐る恐る身体を離しヴィヴィオの顔色を伺うと。
 笑顔なのに目が笑っていない。


 これは、相当怒ってる……。
 今のわたしに拒否権なんて無いんやろうなぁ。これ以上怒らせたら後が恐いし大人しく従うのが無難やな。





「はぃ」





 はやての返答を聞き、身体を離してクリスに映像記録を再生するようにお願いするヴィヴィオ。
 マスター想いのクリスは瞬時に映像の再生を開始した。
 映像は、はやてが玄関の扉を開けた所から始まって、一緒のベットで眠るところで終わっていた。





「ねぇ、はやてさん、どこまで覚えてますか?」





 首を傾げて見詰めるヴィヴィオに顔が引きつり、汗をだらだら流すはやて。


 どこまで、ってか最初に家に入った段階から記憶が全く無いんやけど。
 それより、わたしはヴィヴィオに何しとんの!?
 いくら恋人やからって。これじゃあ、セクハラやん!
 出来る事なら、忘年会行く前からやり直したいくらいや。



 身動きひとつ無いはやてを心配して、自分の額をはやてのそれにくっ付けるヴィヴィオ。





「ん〜 熱は無いみたいだけど。大丈夫? はやてさん、まだ体調悪いの?」





 額をくっ付けたまま上目遣いで話掛けるヴィヴィオに反射的に身体を離して距離を取るはやて。
 顔が真っ赤に染まっている。





「だ、だ、だ、だ、大丈夫や! 充分睡眠も取ったし、元通りや」





 ヴィヴィオさん。あんな体勢で上目遣いとか、器用な事するんやね。
 てか、いきなりそんな大胆な事せんといて、心臓に悪いから!! バクバク言うてるやん!


 目が泳ぎ、挙動不審なはやて。
 どこから見ても何かを誤魔化そうとしている様にしか見えない。そんな態度に信用なんて出来る筈が無く、ずずいと詰め寄るヴィヴィオ。
 そんなヴィヴィオの行動に益々焦るはやて。





「はやてさん、そんな事言われても信用なんて出来無いよ?
 顔が真っ赤だし、様子もおかしいし」





 様子がおかしいって、殆どヴィヴィオが原因やねんけど。
 そんなにひっつかれたら、動揺くらいするやろ?
 べ、べつにヘタレな訳やないよ!!





「うぅ。せ、せやけど、ホントに具合は悪く無いんよ?」


「ダメだよ! ちゃんと休まないと!
 今日は大人しくする事! 大丈夫、ヴィヴィオが看病してあげるから♪」





 いつの間に機嫌が直ったのか、にっこり微笑むヴィヴィオ。
 そんなヴィヴィオに なのはちゃんみたいや" と、思わずにはいられないはやて。




「その前にヴィヴィオ、謝らせてくれる?
 昨日は本当に悪かった、堪忍なぁ。
 いくら恋人でも、あの発言はあかん、反省してます。
 せやから今日はヴィヴィオの気の済む様にしてくれたらええよ」


「……発言だけなんだ?」





 ぽつりと、本音を漏らすヴィヴィオに、真っ赤な顔のはやては視線を逸らしながら言葉を濁す。





「いや、まぁ、その恋人なんやし。そういう行為も、無いわけや無いし、その……」


「ふ〜ん。 普段はヴィヴィオが迫っても、はぐらかして何にもしてくれないのに、酔ったらそんな事までしちゃうんだ?」


「うぅ。それは、その……」


「ねぇ、はやてさん。お願いがあるんだけど、良いかなぁ?」


「うぇ!? あ、う、うん。ええよ、何?」


「はぐらかさないで、ちゃんと、その、はやてさんが嫌じゃないんだったら、してほしいなぁ……だめ?」





 頬を赤く染めて上目遣いのヴィヴィオを見て、心臓が跳ねる はやて。



 だ、駄目とかそういう問題やないんやけど。
 下手に手を出したら、歯止めきかんくなりそうで怖いんよ。
 それに、恥ずかしいし。
 やり過ぎて嫌われたら、って思うと身動き出来へんやん。





「あ〜、う〜」


「はやてさん?」


「うぅ……」


「ヴィヴィオとじゃあ……嫌?」


「い、嫌な訳ない!! そんな事、絶対にあらへんよ!」





 情けない呻き声を出していたはやては、ヴィヴィオの悲しそうな顔を見て、慌てて否定する。



 な、何を言うんよ! 嫌な訳ないやん、恋人なんよ?
 わたしがヴィヴィオの事、好きなん知ってるやろ?
 まぁ、告白もヴィヴィオからやったし。わたしはあんまりそういう事言わへんけど。
 やっぱり言葉にせんと、態度で露さんと、不安なんやろか?





「なぁ、ヴィヴィオ。
 わたしがヴィヴィオの事、好きなん分かってるやんなぁ?」


「ふぇ? う、うん?」





 あれ? 反応が薄いと言うか。もしかして、あんまり伝わってない!?
 伝わってないんか!? これって、非常にマズイやんな? 下手したら愛想尽かされる!?


 きょとんとした表情のヴィヴィオを見て、気の抜けた顔から青ざめた顔にくるくる表情が変わる はやて。





「ヴィヴィオ」

「ふぇ? んんっ――!?」





 ヴィヴィオの反応に危機感を感じたはやては、言葉だけじゃ、伝わらない想いを込めて自分のそれをヴィヴィオの唇に重ねる。
 咄嗟の出来事に驚き、目を見開くヴィヴィオ。
 だけど目を瞑っているはやては、そんなヴィヴィオに気付かず。
 ヴィヴィオの身体を抱き締め、長い口付けをかわす。


 そっと、離れる唇。
 ゆっくりと目を開けたはやての目に顔を真っ赤に染めて驚いているヴィヴィオが映り思わず、笑いが噴き出る はやて。





「……ぷっ、あはは」


「は、はやてさん!? 笑うなんて酷いよ!」





 はやての反応に不満を漏らすヴィヴィオ。





「いや、せやって可愛い反応やったし。つい、な? 笑ってもうたんよ?」


「にゃ。だ、だっていきなりだったし、そんな雰囲気じゃなかったし。心の準備が出来てなかったんだもん!」


「まぁ、いきなりで悪かったんやけど。
 わたしがヴィヴィオの事をどんだけ好きなんかちゃんと伝わってない気ぃしてな?
 わたしは、あんまり言葉でも態度でも露さんけど。
 ヴィヴィオに負けんくらい、ヴィヴィオの事を想っとるんよ?」


「え? 私と同じくらい??」


「せや! もしかしたらそれ以上かも知れん」


「はやてさん、顔真っ赤だよ?」


「ぅ。そら、恥ずかしいやろ! 普段そんなん言わへんし、ましてキスなんてせぇへんねんから。
 せやけどヴィヴィオが不安なんやったら、恥ずかしいとか言うてられへんやん」





 はやてさんがそこまで想ってくれてたなんて、嬉しいなぁ〜♪
 でも、いきなりだったから、びっくりしちゃってて良く分かんなかったなぁ。キス。
 もう一回してくれないかなぁ〜?





「はやてさん、えっと、その……」


「ん? なん?」


「もう一回してほしいなぁ〜」


「何を?」


「……キス」





 予想外の言葉に座ったまま後ずさる はやては勢い良く壁に後頭部をぶつけ、頭を押さえうずくまる。





「――っ!? い、痛ぃ」


「はやてさん!? 大丈夫ですか??」


「うぅ。あかん、角当たった、頭ガンガンする」





 はやてさん、壁に当たってましたよ? 角じゃないです。
 勘違いする程痛いなんて、完全に二日酔いじゃないですか!?





「頭ガンガンは二日酔いだと思いますけど? やっばり、体調悪いんじゃないですか!」


「うぅ。いや、べつに悪くは、ないんよ?」





 罰が悪く、目が泳ぐ はやて。





「はやてさん? 明らかに悪い様に見えますけど? ちゃんとホントの事言ってくれないと、怒りますよ?」


「いや、あの……」


「はやてさん?」


「……ごめんなさい。 ちょっと、しんどいです」


「やっぱり。 ママ達と一緒で無理ばっかりするんですから、人一倍、気遣い屋なのは分かるけど。
 私にくらいはそんな気遣いしないで下さい、心配くらいさせて下さいよ!
 恋人なんですから、ね?」


「ごめん、ヴィヴィオ。なんや癖になってるみたいで、えっと、ほんなら今日はヴィヴィオに頼ってもええかな?」


「はい! はやてさんは、ゆっくり寝てて下さい。
 軽く食べれる物を作ってきますから♪ お粥とかなら食べれますよね?」


「うん。それくらいなら、食べれると思う」


「それじゃあ、出来あがるまで少し寝てて下さい」

「うん、わかった」





 はやてが布団に転がる姿を確認してから、すっかり機嫌が良くなったヴィヴィオは、軽く鼻歌を歌いながらリビングに向かう。



 ん? そういやヴィヴィオ何か言ってた様な気ぃするんやけど。まぁ、ええか。
 ほんなら、ちょぉ一眠りさせてもらおかなぁ〜♪



 リビングから戻って来たヴィヴィオは、幸せそうに寝ているはやての頬に口づけを落とした。





「可愛いなぁ〜 はやてさん♪ あどけない顔して眠るんだもん!
 寝顔を見てると、歳の差を感じないよ? 言うと怒るから言わないけど」





 はやてが目覚めるまで、寝顔を嬉しそうに見詰めるヴィヴィオでした。






 おわり




途中、フェイはやを無性に書きたくなって書いたり、
だすとdeしゅーと様の2周年イラストがめちゃくちゃ可愛かったので、
イラストを見てたらSSが浮かんできて、
出来上がったSSをサンぽんさんに2周年のお祝いに送ってみたりとかしてたらこんな事に!?


あはは(; ̄▽ ̄)
ふらふらしてたら、だいぶ時間が掛かってしまったww 自業自得w でも、後悔なんてしてないよ!
しかも…な〜んか、中途半端なww 感じが沸々と……しないでもない…よね?
でも、自分的には、割りと満足ww

ごめん、モチベーションに左右されてると思うんだ……優柔不断でへたれな性格が……う〜ん
仕事辞める事を切り出せない、あぅあぅ


あ! 優柔不断でへたれだけど、真面目で仕事熱心なんよ(`・ω・´)キリッ
そのせいもあって、辞めるって言うと……たぶん…数十分くらい別室で話されるかもしんないww
嫌やわ(; ̄▽ ̄) でも数日中に言わんと間に合わへんねん!!
明日(今日)絶対言ってやるんだから!!


あ! 次の更新はたぶん……フェイはや、やと思う。


【2011年2月1日〜3月15日】 著




SS保管庫 リリカルなのは

トップ アイコンネズミ堂〜時々ねこ屋〜 トップページ
直線上に配置

inserted by FC2 system