程なくしてモニターに映し出されたなのはの姿を確認し、軽く挨拶を交わすはやて。
「あ、お早うさん、なのはちゃん」
「おはようはやてちゃん♪ どうしたの?珍しいね?」
「あ〜 いや、な? えっと、ヴィヴィオとフェイトちゃん居るかな?」
「あ、ヴィヴィオに用事だったの? ごめんフェイトちゃんしか居ないよ」
「学校?」
「うん。 ヴィヴィオ今日は日直だから早く行っちゃった、いつもはまだ居るんだけどね〜」
「そ、そうなんや」
危なかった。危うくヴィヴィオと鉢合わせするとこやった。
ヴィヴィオの不在を確認して安堵の溜め息を零すはやて。
「ちょっと待ってね、はやてちゃん。フェイトちゃ〜ん、ちょっと来て〜」
丁度制服に着替え終わって、リビングにやって来たフェイトに手招きして呼ぶなのは。
嬉しそうに此方に向かって来るフェイトちゃん。わたしの顔を見てなのはちゃんと同じ反応をされて、思わず苦笑いになりそうになる。
「おはようはやて♪ どうしたの? 珍しいね」
「お早うさん、フェイトちゃん。まぁ、たまには声でも聞きたかったと言うか〜 その、な? あ、二人とも時間大丈夫なん?」
「うん、10分位なら大丈夫だよ!」
「私も……そうだね。それくらいなら大丈夫だ」
「そうか、ほんなら良かったわ。なのはちゃんもフェイトちゃんも仕事の方は大丈夫か?」
「私は最近書類仕事ばかりだから、身体が鈍ってないか心配かも」
「うん! 私は今の所大丈夫だよ! 今はヴィータちゃんも一緒だし。無理したら直ぐバレ――げふんげふん。怒られるからね?」
うっかり本音を漏らし掛け、慌てて訂正するなのは。横からフェイトの視線が突き刺さる。
「なのは? 何か今、聞き逃せない様な事言わなかった?」
「にゃ!? ふぇ、フェイトちゃん!? な、何でもない、何でもないよ! ただの言い間違いだから!」
「ふぅん。そっか、私には無理したら直ぐバレるから出来ないって聞こえたんだけど、違うんだね?」
「あぅ。ち、違うよ? べ、別に無理しようとなんて思ってないよ?」
言い訳が肯定にしか聞こえず、更に畳み掛けるフェイトは怪訝な表情をしている。
「じゃあ、どう思ってるの? 無茶しないようにちゃんとしてる?」
「うぅ。そ、その、無茶はしないようにしてるつもりだよ?」
「って事は、してるつもりでも出来てない時があるって事だよね?」
「そ、それは、その……」
「なのは自身が加減出来ないなら、周りが調整してあげたら良いんだよね?」
「あ、あの、ふぇ、フェイトちゃん? そ、それはヴィータちゃんがしてくれてるから大丈夫だよ!」
「でも、いつもヴィータにばっかり迷惑掛けるのも悪いから私も協力させてもらうよ!」
「いや、あのね? 迷惑と言うか、むしろそれもヴィータちゃんの仕事って言うか……」
にっこりと微笑むフェイト。笑顔が怖く見えるのは決して気のせいでは無い。
「なのは? 私が協力したいんだ! それとも、なのはは私だと嫌かな?」
「いや、あのね、フェイトちゃんが嫌なんじゃ無いんだよ? ただ、何か嫌な予感がすると言いますか――」
危険を察知して、後退ろうとするがフェイトに腕を掴まれ叶わない。
「大丈夫、10分もあればは出来るから♪ いや、頑張れば5分ぐらいでイケるかな?」
本気で考え始めるフェイトに嫌な汗が止まらないなのは。いくらヴィヴィオが居ないからって、朝っぱらからそんな事をされたら仕事に支障が出てしまう。
逃げる事も出来ず、このままでは本当に遣りかねないフェイトをどうやって落ち着かせるか考えるなのはは、
はやてと通信中だった事を思い出し助けを求める。
「は、はやてちゃん! 今の会話聞いてたよね? お願い助けて! このままじゃ、仕事に支障が出ちゃうよ〜」
いつもならニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべながら喜々として、からかうはやてだが。なのはの呼びかけも虚しく、幾ら待っても反応が全く無い。
不思議に思いはやてを見つめるなのは。ニヤニヤ所か呆れた表情すら無く、心此処にあらずといった感じの表情に目が点になる。
アリサなら、「あんた何か変な物でも食べたの?」と突っ込んでいただろう。
そして、シャマルを除くヴォルケンズの面々からは、シャマルの料理を食べたと疑われる事だろう。
「はやてちゃん、どうしたの?」
「……え? 何、なのはちゃん?」
「いや、何じゃないよ〜! ぼーっとしてたよはやてちゃん。なにか悩み事? だったら相談に乗るよ!
それとも体調が悪いの? ダメだよ体調が悪いなら仕事休まないと!」
いつもと様子が違うはやてに違和感を感じて問うなのは。
「あ〜、ごめんな〜? ちょぉぼーっとしてしもただけやから大丈夫や〜」
「でも、今日は念の為休んだ方が良いと思うんだけど」
「心配性やなぁ〜 なんでもあらへんよ〜 どっかのお偉いさんが、嫌がらせに面倒な仕事いっつも押し付けて来るから、ちょぉ寝不足なだけや〜」
「そうなんだ。でもはやて、身体も疲れてるみたいだけど、他にも何かあるんじゃないの?
私達で良ければ相談くらいは乗るよ? 力になれるかも知れないし」
自分の世界に飛び立っていたフェイトが、いつの間にか帰って来たのか話しに入って来る。
突然耳元で喋られて驚くなのは。
「フェイトちゃん、聞いてたの!?」
「ん、ちゃんと聞いてたよなのは。はやてが、嫌がらせの所為で寝不足で疲れてるんでしょ? まぁ、それだけじゃなさそうだけど」
「うん。 そうなんだけど、その、フェイトちゃん。とりあえず、そろそろ離して貰えると嬉しいんだけど」
「なんで? 話してるだけだし別に問題ないよね?」
「そ、それ以上なにもしないって約束してくれるなら。問題は、無い、よ?」
「ん〜 善処するよ。ただし、何もしないって約束も保証も出来ないけどね?」
頼みの綱のはやてがこの状態じゃあ逃げ道は無いと悟り。力無い声を出す事しか出来ないなのは。
そんな二人のやり取りを余所に何でバレたんやろう? と、内心ヒヤヒヤするはやて。
「ねぇ、はやて、何でも良いよ? 親友が苦しんでるのは見たくないんだ! 私じゃはやての力になれないかな?」
「い、いや、そんな事、あらへんよ? 優秀な執務官様が力にならへん訳、ないやん?」
動揺を隠しきれず、いつもの様に誤魔化す事が出来ないはやて。
そんな、はやてに苦笑いになるフェイト。その顔には心配の二文字が見える気がする。
「茶化さないでよはやて、友達に役職なんて関係ないよ! ねぇ、はやて。何があったの?」
「あ〜 いや、その、なんや話したら長くなると言うか。二人とも仕事あるし、また時間のある時でええって言うか」
しどろもどろになるはやてに痺れを切らしたリインが呆れながら本題を話すように促す。
「はやてちゃん! 言いにくい気持ちも分かるですが、フェイトさんとなのはさんも相談に乗ってくれるって言ってるんですから早く話すです!!」
「「あっ! リイン、居たんだ……」」
リインの存在に気付いて無かった二人が同時に本音を漏らすと、頬を膨らませて拗ねるリイン。
「ひ、酷いですよ〜 初めから画面の端に映ってたです。邪魔にならないように控えてただけですよ!」
「「ごめん、ごめん。 はやて(ちゃん)からの通信が珍しかったから」」
「はやてちゃんがちゃんと話してたら出るつもりは無かったですが、はやてちゃん意外にヘタレさんだったみたいで本当に世話が焼けるですよ〜」
「「あはは、リインも苦労してるんだね〜」」
はやてを置き去りに話を進める三人に思わず突っ込まずには居られないはやて。
「誰がヘタレやねん!! ちゃうって言うてるやろ」
「だったら、早く話すですよ!」
「うぅ。せやって、二人ともこれから仕事やのに……」
「はぁ、分かったです。ゆっくり話せる時間があれば、ちゃんと話すんですね?」
「う、うん。せやけど、無理やろ?」
「職権乱用に引っ掛かるかもですが、無い事もないです。応援要請掛けて、なのはさんとフェイトさんにはやてちゃんの所に来てもらったら良いんですよ!」
「いや、それはちょぉあかんやろ」
「丁度仕事も溜まってるです! それを理由に要請すると良いですよ! 仕事も片付いて、はやてちゃんの問題も解決出来て一石二鳥です〜♪」
「無茶ぶりやん! そんなんで海と空のエースを要請なんてしたら、わたし大目玉やんか〜」
「だって、はやてちゃんもう3週間はお休み取って無いですし。そろそろシャマルから強制的に休暇取らされますよ?
仕事が山積みの状態で、しかも殆どが嫌がらせで押し付けられた仕事じゃないですか!
通常の仕事だけだったら週に2日はちゃんとお休み取れるのに」
「そ、それはそうやけど……」
リインの提案に流石のはやても苦笑いになり、見かねたフェイトが間に入る。
「えっと、ちょっと良いかな? 一つ提案があるんだけど、はやて有給溜まってるよね?
人事部に、はやてが有給を1週間消化する条件で私達がはやての仕事を応援に行ける様に掛け合ってみたらどうかな?」
「わたしは別にええけど、そんなんで行けるん?」
「多分大丈夫だと思うよ? 後、私達も有給を消化するって言えば二つ返事で動いてくれると思う!
とりあえず、それで良いかな? なのは、はやて」
「うん! 私は大丈夫だよ〜♪ 丁度今日は内勤だけだったし」
「うん、ごめんな〜 フェイトちゃんなのはちゃん、ホンマ助かるわ〜」
「じゃあ、人事部に許可を取ったらそっちに向かうから――あ!」
「え? どしたん?」
「えっと、ごめんはやて。10分、いや5分で良いから時間くれないかな? 後ご飯食べる時間も」
「ん? ええよ〜 そんくらい、ゆっくり食べてきてくれたら」
「ありがとうはやて♪ じゃあ、また後で!」
はやてとの通信を切り。人事部に通信を繋げて先程の提案をしたら二つ返事で許可を貰えた。
笑顔でご飯食べよう〜 と、なのはと朝食を嬉しそうに食べるフェイトに嫌な予感が拭い切れないなのは。
朝食を食べ終わり、片付けを済ますとその予感は的中したと知る事になる。
「なのは〜♪ 良いよね? 私充分我慢したでしょ?」
「ちょっ?! ふぇ、ふぇいとちゃん!? だめだめ、駄目だよ! 何考えてるの! 昨日もあんなにしたんだよ!?
これ以上したら、わたし腰が立たなくなっちゃうよ!!」
「大丈夫、私が抱っこしてくから♪ だから問題ないよね?」
「いやいやいや、問題あるよ! 大ありだよ!! はやてちゃんも待ってるんだし早く行こう!」
キラキラの王子様スマイルで迫るフェイトだが。なのはの瞳には、その笑顔に隠れてちらちらと獣が獲物を捕食する時の様な表情が見え隠れして見える。
必死の抵抗も虚しく。なのははフェイト美味しく頂かれてしまうのでした。
つづく
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ホントに…フェイトさんは勝手に動くから話が進まないんだよ〜(苦笑)
なのはさんへの愛が溢れてるんですね? ←わかりますw
いちはちきんになる展開だよ〜(苦笑) ←書けないんだから自重して下さいよフェイトさんorz
あ、書きませんよ? 書けないですからwww
皆さん各自脳内で補完して頂ければ幸いです。
はやヴィヴィなのに、なのフェイとはこれ如何にwww
これ、似たような事(いち)の時も言ってたよね?
ダメだ、長編になりそうな予感wwwww
早く、エースオブエースの続き書きたいよう〜
専念したいよ〜
でも、たまに違うのも書きたいなぁ〜
あ、はい、早く書きますね
これ終わらせてからだけどw
にゃ〜!! ←気合い。
【2011年7月31日〜8月4日】 著
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