「はやてさ〜ん」
「ん〜、何や〜」
たまには二人一緒にと示し合わせたオフ。
まったりと寛ぐ我が家、最高の贅沢やで〜っとベッドでゴロゴロと満喫してましたよ?
ヴィヴィオが声を掛けるまでは、な?
「えっとね、その……か、構ってほしいです」
「〜〜っ!?」
モジモジと恥ずかしそうに頬を紅く染めて呟くヴィヴィオ。
なにしてん!? そんな可愛い事を言うてわたしの理性を破壊するんは止めてほしいんやけど。
わたしの中では、小さいわたしの分身逹が必死に理性を修復している。
休み無しぶっ通しで。ええかげん倒れるんちゃうかな?
分身達を心配しつつ、深呼吸し心を落ち着ける。
落ち着けわたし。ただ、ぎゅって抱き締めるくらいで充分や! 決してアレな事でも誘ってる訳では無いんや。
「はやてさん?」
ひとりブツブツと呟くわたしを心配そうに見詰めるヴィヴィオ。
ヴィヴィオ可愛いなぁ〜、こんな可愛い顔見れるんなら心配されるんも悪くない――って、ちゃう!?
そうやなくて!! 何を考えとるんやわたし!
「な、何でもない! 何でもないから――」
「何でも無い顔に見えませんけど? 何か隠してますよね司令?」
「うぅ。オフでまで司令って言わんでや〜、休息にならへんやんか〜」
「じゃあ、教えてくれますか?」
「……それ、卑怯やないか?」
「これくらいやらないと、本音言ってくれないんだもん!」
昔からそうやけど、ヴィヴィオに押されると弱い。
惚れた弱味か、はたまたヴィヴィオは押しが強いのか分からないけど。
たまに仕事中にも立場が逆転するから困る。
「いや、わたしヴィヴィオには結構本音言っとるんやけど?」
「ヴィヴィオもちょっと自惚れるくらいは自覚してますよ。でも、恥ずかしいからって言ってない事も一杯ありますよね?」
「うぅ。ええやん、そのくらい。恥ずかしいんや、フェイトちゃんやなのはちゃんみたいに年中イチャイチャとか出来へんよ」
え? ママ達? って言いながら考え出すヴィヴィオ。
「んー確かに、はやてさんは自分からするタイプじゃないもんねー」
「なっ!? わたしだって決める時はちゃんとやってるやん!」
「んー、たまにだよねー。初めてのキスも私からだったしー♪」
「うぐっ!? そ、それは、その……」
ニヤリと笑いながら痛い所をついてくるヴィヴィオ。
そういえば、あれで上下関係が決まった様な気がする。
リインからは、「はやてちゃんはお尻に敷かれてるですよー」と言われるし。
ティアナからは、司令……気の毒ですって視線をされるし。
まぁ、そういう事に甲斐性があんまり無いんは認めるけど。上官として、あぁいう認識されるんは避けたい所や。
「あんなヴィヴィオ」
「ふぇ? 何ですか?」
「確かにわたしはあんまり甲斐性無いと思うよ?」
「はやてさん?」
「けどな、部下に気の毒って視線をされたり。尻に敷かれてるって認識されんは流石に不味いんや!」
「えっと、はやてさん?」
「せやから、頼むわ! 職場では上に立たせといてくれへん?」
「はやてさん、言ってる意味が良く分からないんですが……」
「え? せやから、無理矢理休憩させたりとか色々あるやん」
「そ、それは休憩もしないで遅くまで仕事してたり。ちゃんとご飯を食べないはやてさんが悪いんだよ!」
「いや、その、ついやん! 気ぃ付いたら食べてなかっただけで――」
「はやてさん?」
「うぐっ!? そない怒らんでもええやん、態とやないんやし」
「態とじゃないから余計大変なんですよ」
「うぅ……」
「分かった、今度忘れてたら私が食べさせてあげますね!」
「なっ!? いやいやいや、それはあかんて!」
「んー忘れなければ大丈夫ですよ?」
「うぅ〜〜」
「そんなに、嫌がらなくても」
本気で落ち込むわたしに苦笑いになるヴィヴィオ。
いやいや、威厳とかイメージとか色々あるやん!
「ヴィヴィオが嫌なんやなくて、職場でそういう事するんは嫌なんや」
「じゃあ、プライベートなら良いんですよね?」
「それはええけ、ど?」
「それじゃあ今日は一杯イチャイチャしましょうね♪」
「はぃ? うぉぉ!?」
嬉しそうに抱き付くヴィヴィオ。
ちょっ!? ちょぉー!? 胸、胸が当たっとるってー!!
折角修復が終わったばかりの理性がガラガラと音を立てて崩れ落ちる。
「えへへ♪ はやてさーん大好きー♪」
「〜〜っ!? ヴィヴィオ、ちょぉ待って!」
「えー、二人っきりだよー」
「い、いきなり抱き付かれたら、襲ってまいそうになる――」
「ふぇ?」
真っ赤な顔で視線を泳がせながら唸るはやて。
何を言われたのか分からず疑問符を浮かべ反芻するヴィヴィオ。
意味を理解したヴィヴィオは反射的に身体を離し、顔を真っ赤に染めて狼狽える。
「ふぇぇぇ!? は、はやてさん!? こんな明るい内から何言ってるんですか!?」
「え? 明るいの関係あるん?」
「大ありですよ! 体力とか雰囲気とか色々あるじゃないですか!」
「ん? キスするんになんで体力いるん?」
「ふぇ? キ、ス??」
「うん、キスやで?」
「あの、はやてさん。襲ってしまうって言いませんでした?」
「うん、せやからキスしてまいそうになるな〜と思ったんやけど?」
呆れた表情のヴィヴィオが「それって襲うっていう部類に入らないんじゃ……」とかブツブツと呟いてる。
いやいや、キスも入っとるやろ? ヘタレがどうのって聞こてくるけど、ヴィヴィオ、いくらなんでも失礼やろ!
せめてオブラートに包むとかやねー
「じゃあ、はやてさんキスして下さい♪」
「……はぃ?」
離した身体を再び、ぴとっとくっ付け抱き付くヴィヴィオ。
キスして下さいと言われ、はいそうですかって――無い無い。それは無いやろ!?
泳ぐ藍色、ニコニコと期待に満ちた紅と翠をかわそうと必死だ。
「はやてさーん、そんなに焦らなくてもはやてさんがしたくなったらで良いですからー♪」
ドキドキ煩い心臓が、ヴィヴィオの声で速度が上がる。
優しい彼女は、決して無理強いする様な事はしない。
ほっとする反面もうちょっと我が侭言ってくれても良いのにと思う矛盾。
軽いキスを落とし、真っ赤に染まっているであろう顔を隠す様に肩口に埋めるはやて。
「ヴィヴィオ……もうちょぉ我が侭言うてもええんやで?」
消え入りそうな声で溢す本音。
囁く様に返される返答。
ありがとう。たった一言だけど心が暖かくなるのを感じて少し力を強くして抱き締めると、抱き締め返されて心まで一つになれた様な気がした。
終わり
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あとがき
あーやっぱり良いですねー、はやヴィヴィ♪
はやてさんが素敵過ぎるww
ヘタレ攻め良いよね!
まぁ、キスまでしかしないけどねーw
ただイチャイチャしてるはやヴィヴィをと思ってたのになんか違う感じになってしまった(汗)
とりま、はやてさんが素敵って事で(`・ω・´)キリッ
【2011年9月28日〜30日】 著
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