とある日の司令と陛下、意外と子供








 今日はヴィヴィオと初デート。
 年上として、ここはちゃんとエスコートせな! っと、あれこれ考えてたらなんや目が冴えてしもて。
 寝たのは夜中と明け方のどっちかな〜っと言うような時間。
 眠い目を擦り、待ち合わせ場所に着いたのは決めた時間の20分前。
 20分も早く到着したにも関わらず、待ち合わせ場所には既にヴィヴィオがちょこんと立っていた。





「ヴィヴィオ!?」


「あ! はやてさ〜ん♪」





 驚くわたしを他所に嬉しそうに手を振るヴィヴィオ。
 さ、流石あの二人の娘やな。早く来たつもりが待たせてしもたわ。
 のっけから軽くへこみつつ、これ以上待たしてはと思い軽く走ったのがいけなかった。


 注意力散漫、ヴィヴィオに気を取られ電灯に頭からダイブするはやて。
 まるで大晦日の様な鐘の音が公園に響き渡る。
 心配して駆け寄るヴィヴィオに待たせた挙句カッコ悪いドジを踏み泣きたくなる。





「は、はやてさん!? 大丈夫ですか?」


「こ、これくらい大丈夫や! 何ともあらへんよ!」


「本当ですか? 凄い音しましたよ?」


「わたし意外と頑丈やし、大丈夫やで?」


「幾ら頑丈でも心配しますよ! 痛いですよね?」


「まぁ、痛ないって言うたら嘘になるなぁ」


「そういう事、私には隠さないで言って下さいね!
 恋人だもん! それくらいの特権ありますよね?」


「ぅあ。で、でもな? カッコ悪い姿は見られたないっちゅうか……」


「私はどんなはやてさんも大好きだよ! それにカッコ悪い部分があるから、カッコ良い時により一層トキメクんだもん!」


「いや、でも……」


「はやてさん、ギャップは大切だよ? なのはママも言ってたよ! フェイトママのヘタレな所が可愛いなぁ〜って!」

「フェイトちゃん……不憫や。って、わたしはヘタレやないよ!」


「あぁ、うん。それはこれからだよね?」


「いやいやいや、今もこれからも無いから!」


「大丈夫、問題ないよ! どんなはやてさんでも私は大好きだからね!」


「ちょぉヴィヴィオさん。せやからちゃうって言うてるやん」





 きらきら笑顔で言い放つヴィヴィオに対して、苦笑いのはやて。
 ぶつけた頭よりも違う意味で頭が痛くなってくる。





「はやてさん、ぶつけた所ヒーリングしましょうか?」


「ん? そんな事出来るん?」


「はい! 私だって色々勉強してるんですよ!」


「あー、ほんなら頼もうかなぁ」


「えっと、じゃあベンチに座ってもらっても良いですか?」


「うん? あぁ、治療しにくいんか?」





 わたしの言葉に微笑むだけのヴィヴィオ。
 若干嫌な予感が過るけど、促されるままベンチに座る。





「眩しいと思うので目を閉じてた方が良いですよ!」


「んー、ほんならそうするわ」





 目を閉じると治療を始めるヴィヴィオ。
 瞼越しにうっすらと光を感じる。
 目を閉じててもこれだけ明るいんならヴィヴィオが言ってくれんかったら目がしばしばしてたなぁー
 痛みが退くにつれて、眠気が増してくる。
 必死で抗うも、ヴィヴィオの暖かいヒーリングと睡眠不足のコンボに負け意識を手放してしまう。










 それから暫く経った後、寝返りを打とうとして頭以外の身体に当たる部分の固さが気になり目を開けるはやて。
 ヴィヴィオに膝枕された状態で公園のベンチに寝ている現状に固まる。



 あれ? ちょぉ待って! なしてこないな事になってるんや!?



 軽くパニックに陥る思考。
 はやてが目を覚ました事に気付いて、心配そうに見詰めるヴィヴィオ。





「あ! はやてさん、大丈夫ですか? ヒーリング終わったのに起きないから心配しましたよー」


「あー堪忍なぁ〜、なんや気持ち良くて寝てしもうたみたいや」


「それなら良いんですが、随分寝不足みたいでしたよ? また、お仕事ですか?」


「うぐっ。いや、昨日は仕事定時で上がったで?」


「じゃあ何で、そんなに疲れてたんですか?」





 泳ぐ藍色に追うオッドアイ。
 理由が理由なだけに言うのを躊躇うはやてに、純粋な視線が突き刺さる。
 痛い、色々な意味で痛い。


 自分にもそんな時があっただろうかと場違いな事を思いつつも、思い出すのは親友達に悪戯した日々。
 昔からあまり変わってない自分に苦笑いになるが、小さい恋人は理由を言うまで許してくれそうにない。





「それは、その……」


「はやてさん?」


「いやな……」


「はやてさん?」


「い」


「い?」


「その、色々考えてたら目が冴えてしまって……」


「で?」


「殆ど眠れんかったんや」


「色々って、私とのデートの事をですか?」


「そ、そうやけど」





 何やら考え出すヴィヴィオ。
 デート中に寝てしまったわたしに非があるから何を言われても仕方無いんやけど。
 沈黙されるとそれはそれで辛いなぁー
 いっそ怒ってくれた方が謝れるんやけど。





「えへへ♪」


「……はぃ?」


「嬉しいなぁ〜♪」


「あの〜、ヴィヴィオさん? 怒ってへんのん?」


「ふぇ? 何で?」


「いや、せやって初デートで居眠りって。ある意味一番嫌われる行為やで?」


「ん〜、でも私は我慢される方が嫌だなー」


「怒らんかったんはヴィヴィオの性格やったとして、それが何で嬉しいになるんや?」


「だって、私とのデートの事を考えくれて眠れなかったんだよね?」


「まぁ、理由はそうやけど」


「その間ずっと私の事を想っててくれたって事だもん!」


「……」


「好きな人に想われて嬉しくない訳ないよ!」


「ヴィヴィオ。そういう解釈されると恥ずかしいんやけど」


「否定はしないんですね?」


「そらまぁ、今は恋人なんやし、否定する必要なんてあらへんもん!」


「意外にきっぱり言いますね」





 予想外の切り返しに頬を染めるヴィヴィオ。
 予定より少し遅めになってしまった初デート。
 繋いだ手から伝わる体温を意識して、ほんのり紅く染まった頬。
 恥ずかしそうに逸らす視線、何とも言えない雰囲気を出しながら二人の初デートが始まるのでした。





おわる




はい、リリマジ12の事が原因だと思うけど……何だか目が冴えて眠れないww
眠れないよーっと思いながら、はやてさんも気になって眠れない系の人だよね〜なんて事を思って書き殴ってしまったww

デート中に相手に眠られようが、そばにいてくれるだけで嬉しいよね?
ウチの中のヴィヴィオはそんな娘ですw

そんなこんなで睡眠時間推定2時間で東京に向かったのでした(笑)
思ったより全然乗り物酔いが酷く無かったのは謎ですww

そして、ほぼ9割以上を夜中に書いたので何というか……誤字脱字チェックしてて色々とダメージを食らいましたwww

年々自分んの書いた話を読み返すのが辛くなってきます(苦笑)
羞恥心と言う名の辛さですΣ(−ー;)


【2011年10月23日・24日】著




次話

SS保管庫 リリカルなのは

トップ アイコンネズミ堂〜時々ねこ屋〜 トップページ
直線上に配置

inserted by FC2 system