さて、アリサちゃんが固まってる隙に色々聞き出すべく、狙いをすずかちゃんに定める。
ここからは時間との勝負やな!
「んじゃ、改めて自己紹介とかして貰おうかな? 名前以外聞いてへんし」
「そうですね」
「あ、すずかちゃん敬語禁止な?」
「あ、そうだった。ごめんねはやてちゃん」
「あぁ、うんそんな感じでええよ〜♪」
「えっと、私はお姉ちゃんが一人いて、そのお姉ちゃんがヴィヴィオちゃんのお母さんのお兄さんと結婚してるの。
だから私とヴィヴィオちゃんは友達でもあり親戚でもあるんだ」
「へ〜、なんや世の中広いようで狭いんやなぁ〜」
「そうだね、あと家の事も言うと両親が月村財閥の社長って事かな。
会社の方はお姉ちゃんが跡を継いでるから、私は好きな仕事させてもらってるんだけどね」
「まぁ、でも天下の月村財閥のご令嬢が教師って言うのもある意味驚きやけどなぁ〜」
「私もね、お姉ちゃんのサポートでも出来たらなぁ〜と思ってたんだけど、アリサちゃん見てたら気が変わっちゃった♪」
「お? ほんならすずかちゃんはアリサちゃんの影響で教師になったんか」
「うん! 仕事をしてるアリサちゃん生き生きしててかっこ良かったの♪」
「そかそか、で二人は幼馴染みって関係だけとちゃうんやろ?」
「ん〜、それははやてちゃんの想像にお任せするよ」
にっこり微笑み質問をかわす、すずかちゃん。
やっぱり簡単には答えてくれへんよなぁ〜、まぁ追々聞けば良いか。
「ほんじゃ次、ヴィヴィオちゃんいってみよか?」
「ふぇ? はやて先生?」
「先生禁止やって言うたやろ」
「えっと、で、でも……」
話を振ると間の抜けた声を上げるヴィヴィオ。
先生呼びを指摘するも言い淀む姿に何故か、むっとしてしまうはやて。
そうする気なんて微塵も無いくせに意地悪な事を言ってしまう。
「やったらわたしも高町さんに戻そか?」
「うぅ。それはやだ」
「やったら、名前で呼んでくれへん?」
「は、はい分かりました」
「敬語も禁止やで〜」
「うぅ〜いきなり過ぎるよ、はやてさん」
「まぁ、そう言わんと慣れてや」
高町さんって呼ばれるんが嫌だったのか、何とか了承するヴィヴィオ。
順応性が低いのか敬語に戻ってる事を指摘したら、拗ねた様に唸られた。
あ、その反応ちょっと可愛いなぁ〜
思わず顔を綻ばせてたら、上目遣いで見つめられ心臓が跳ねた。
「あ、はやてさんひとつお願いがあるんだけど。良いかな?」
「な、何!?」
「出来れは名前、呼び捨てが良いです」
「えっと、ヴィヴィオって呼んだらええって事?」
「うん♪」
「ま、まぁ、それくらいなら別にええけど」
「えへへ、ありがとうはやてさん!」
「あぁ、うん」
とくんとくんと脈早打つ心臓に動揺して答えると、予想外の事を言われ思わず聞き返してしまう。
呼び捨てに呼ぶ、ただそれだけの事なのに余りに嬉しそうに、はにかむから何だか照れくさくて素っ気なく答える。
幸い、ヴィヴィオは気にしてない様で内心安堵の溜め息をこぼすはやて。
「えっと、私は一人っ子です。家庭環境少し変わってるんだけど、ママが二人いるって事くらいだね」
「ちょ、ちょい待ち! ママが二人? パパはおらへんの?」
「うん、いないよ」
「ちょっとっていうか、まぁ変わってるなぁ」
「うん、でもママ達すっごく仲良いよ♪ だから私もママ達の様になりたんだ〜」
「そ、そうなんや」
ママ達の様にという言葉に、なんだか嫌な予感がして苦笑いになるはやて。
「だからはやてさん、私と結婚を前提に付き合ってほしいの」
「いや、ヴィヴィオ急過ぎるっていうか時と場所を考えてほしいんやけど……」
「急じゃないよ! 私ずっと前にはやてさんに告白したよね?」
「あー、いや、そのな? TPOってもんをな? それにわたしら年が離れてるし、第一同性なんよ?」
「はやてさん、愛に年の差も性別も関係ないよ!」
ほんのり赤く染まった頬、真剣な炎を宿した虹彩異色がきっぱりと告げる、愛に年の差も性別も関係ないと。
はやても勿論、偏見など持ってないし。
それは当人同士の問題だから良いと思ってはいるものの、まさか自分が当事者になるとは露にも思っておらず困惑を隠せない。
「いや、でも他にも色々問題あるやろ?」
「問題? ママ達にはちゃんと言ってるし、今は同性でも結婚も出来る時代だし、薬使えば子供だって――」
「ストップ!! なんて事言おうとしてんねん!? 仮にも教職についてるんよ、TPOを考えてって言ってるやろ!」
ヴィヴィオの爆弾発言に耐えられず、言葉を遮るはやて。
告白は百歩譲って良いとしよう。
真顔で恥ずかしい台詞は言うわ、こんな場所で子作り発言とか、正直夢だと思いたい衝動に駆られる。
こんなに好かれてたとは、思ってなかったんやけどなぁ。
いくら考えても一体わたしのどこが良いんかが、さっぱり分からん。
「はぁ、今日は厄日か……わたしが一体何をしたっていうんや」
「日頃の行いじゃない?」
溜め息混じりのわたしの呟きに、しれっと答えるアリサちゃん。
戻って来てたんや、って言うかどこから聞いてたん!?
「酷っ!? ってか、やっと戻って来たんアリサちゃん」
「えぇ、まぁね。すずかに色々聞いてたみたいだけど、今度は高町さんとアンタの関係を聞かせて貰おうかしら♪」
「ぇ……何の事やろか? わたしにはさっぱり分からんねんけど?」
わたしとヴィヴィオの関係を聞きたがるアリサちゃん、笑顔が怖いんやけど。
聞く側の解釈の仕方で不味くもなる、わたしとヴィヴィオの過去の遣り取り。
いつもの様に誤魔化せれば良いんやけど、アリサちゃんに気圧されて上手く言葉が出てこない。
「ほほぅ、あくまでもしらばっくれる気ね? 良いわよ別に、高町さんに聞けば良いんだもの」
「っ!? ちょっ、ちょぉ待ってやアリサちゃん! 何でもないて言うてるやん!」
「じゃあ聞かれても問題ないでしょ? 止める必要はないじゃない。
それとも何? 聞かれたら不味い事があるのかしら?」
いつもと立場が逆転して思うように回避出来ないはやて。
畳掛けるアリサに内心お手上げ状態だ。
「うぐっ、そ、そんな事は……」
「じゃあ別に良いじゃない」
「そ、そうやけど」
「ぐじぐじ言わない! オレンジジュースでも飲んでなさい」
聞く耳持たず、ピシャリと切り捨てるアリサちゃん。
少しは聞いてくれてもええと思うのに、終いにはオレンジジュースでも飲んどけって。
お酒一口しか飲まんかった事、もしかして怒ってるんかな?
「高町さん、単刀直入に言うわ。はやてとどういう関係?」
「えっと、アリサ先生?」
「先生は禁止じゃなかったかしら?」
「えっと、はやてさんに言われただけで、アリサ先生からは言われてないので……」
「あたしも同じで良いわよ、先生と敬語禁止だったかしら? あと名前呼び? あたしもそうするからそうしてちょうだい」
「あ、はい」
「敬語になってるわよ?」
「あ、えっとごめんなさい」
先生と言われ少しむっとするアリサちゃん。
素っ気なく先生は禁止でしょと指摘するアリサちゃんに、わたしに言われただけと答えるヴィヴィオ。
あ、ヴィヴィオ完全にアリサちゃんに気圧されてるなぁ。端から見たらいじめられてる様にしか見へんやん。
可哀想に、助けてあげたいけど親睦を深める為には少し慣れた方がええから見守る事にするか。
流石に赤裸々に話したりはせんよね? ヴィヴィオ。
「別に良いけど、出来るだけ早く慣れてくれると嬉しいわね」
「うん、アリサさん」
「じゃあ聞かせて欲しいんだけど良いかしら?」
「えっと、なんと言うか、はやてさんが無言で袖を握ってて非常に言い辛いんだけど……」
「気にしなくて良いわよ?」
「言うと後々怖い気がするんだけど……」
「大丈夫問題無いわ!」
「えっと、じゃあ大まかに説明するね?」
わたしの無言の訴えもアリサちゃんによって効果が無い状態にされ。
アリサちゃんに免疫が無いヴィヴィオは、場の主導権を完全にアリサちゃんに持ってかれてる。
ヴィヴィオの大まかな説明が吉と出るか凶と出るか、わたしにはただ祈る事しか出来ないのだった。
続く
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あとがき
書いててなんだか訳が分からなくなってきたwww
書き方忘れたっぽw
あかん、何とかせねば!
【2012年1月19日20日】著
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